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山崎 豊子 (文庫)
著者の小説は結構読んでましたが、本作はドラマを見て興味を持ち読みました。
1巻の内容は昭和20年〜31年までの期間で、8割がたがシベリアの抑留生活です。過酷という言葉でも表現しきれない凄まじい描写があります。 ドラマでは壱岐が部下に向かって 「極北の流刑地で囚人番号を捺され、地下数十メートルの暗黒の坑内で鶴嘴を持ち、11年間にわたって重労働を課せられた」 というセリフがありますが、1巻の内容はまさにこれです。 主人公壱岐の視点で描かれているのでシベリア以外の日本の政治動向などは一切情報がありません。なので抑留生活がなぜ終わったかという 点については曖昧です。 作者の描く人間ドラマは時代を超えた普遍性があり、エンターテイメントとしても十分面白いし、歴史を知るという点でも知識欲を満たしてくれます。自分もまさか30年も前に書かれた小説にこんなにはまるとは思いませんでした。 蛇足ですが1巻で登場する主要人物のモデルを紹介しておきます。 壱岐正 →瀬島龍三 大門一三社長 →越後正一 里井専務 →中村貞夫 秋津中将 →草場辰巳 谷川報道部長 →長谷川宇一 竹村参謀副長 →松村知勝 実名登場 山田総司令官 秦参謀長 梅津総参謀長ほか極東国際軍事裁判の被告全員
本巻において非常に印象深かったのは
@シベリアの雪原、ラーゲリ等の風景 A人間のもろさ、卑屈さ、弱さ B主人公の強さ に関する描写である。 @に関しては、淡々とした風景描写が時折入るのみであるが、その記述の少なさ故に、正に「雪が降る音」のみが聞こえるような透き通った冷たい雪原と、その中にポツンと建つ、ラーゲリが想像された。イメージとしては映画「シャイニング」のホテルを取り巻く吹雪のような。 Aに関しては、ロシア人の理不尽さ、それに取り入ろうとする日本人捕虜の卑屈さ、心身供に疲れ果て、逃げる手段として死を選ぶ者の弱さ・儚さ等が秀逸である。読んでいて思わずこちらも力が入ってしまう程、人間社会の描写も素晴らしい。 上記2点のような極限状態に置かれ、主人公は命を削り環境に耐え、周囲のコミュニティの理不尽さに理路整然と立ち向かう。格好良すぎである。また、彼の軍人・参謀としての几帳面さを窺わせるちょっとした小ネタのような描写(机の上は常に片付いている、重要な書類は墨汁でなく、墨をすり、丁寧に書き上げる)等も程好く、自分の仕事を行う上でも、こんな癖は付けていきたいとも思った。
自分はシベリアに拘留されていた当時には全く生まれていなかったので
これほどまでに過酷な状況に直面していたとは想像もつかなかった。当時の軍人の方々に敬意を払いたい。 これほどの体験を現代の日本人も本書を読み、想像するだけでも困難の少ない時代に生きることができ感謝したくなるのではないかと思う。 この体験を乗り越えれば、社会に出て活躍は当たり前のように出来るのではと感じる。
ドラマも好評の、山崎豊子の傑作。
1巻ではドラマの第一話がほぼ収録されているが、特筆すべきはドラマではくわしく描かれていなかった、 シベリア抑留時代の壮絶な捕虜生活が克明に描かれていることである。 終戦後に条約を一方的に破棄し、満州と北方列島に進行してきたソ連。 国際法を無視したのは、その点だけではなく、捕虜に労働を強い、一方的な軍事裁判で、国際常識を超えた 重労働を極寒の地で強制する、その国家体制には怒りをも超越した感想を持つ。 また、驚くべきことは、日本人捕虜に対し、左翼思想を洗脳し、その上で帰国を許していたと言う事実。 または、自国民に対しても、囚人にはシベリアでの重労働を行わせていたと言う事実。 国交を断絶したままでは、捕虜の救出もままならず、長期にわたる捕虜生活で生命を失った多くの軍人の無念は、想像を絶する。 戦傷国のエゴと、米ソの対立の中、北方領土問題の中、交渉のコマにされた捕虜たちの悲哀がこの物語の中に描かれている。 1冊でも独立した捕虜生活を描いた小説として完結している。 戦後問題を考えるとき、必読の書と言える一冊
ここにきて、‘沈まぬ太陽’の映画化や
本作のテレビドラマ化と また山崎豊子の作品が取り沙汰されている。 その綿密な取材力とプロットの繋ぎ方など 雄渾な筆致はあまたの読者を魅了してやまない。 戦時中は大本営の作戦参謀の任にあった 本作の主人公:壱岐正。 戦後は戦犯として裁かれ、シベリヤ抑留も 経験する。11年の歳月の後、壱岐は日本に 戻ってくる。その後、社長からの三顧の礼 に応えるように商社に入社する。 しかし、ここからが実は本作の真骨頂。 その優秀さと職務に対する厳しさ故に 商社マンとして異例の出世を遂げる壱岐。 プロジェクト毎に新機軸を構築し 確実に成果を挙げ、覇道を邁進する・・・。 この辺りは自らも思う処の多いくだりだった。 巻を追う毎に山崎豊子の付けた ‘不毛地帯’の意味が分かってくる。 組織とは、人生とは、そして幸せとは・・・。 様々な事を考えさせてくれる渾身の力作、 確実におススメです。 |
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山崎 豊子 (文庫)
山崎豊子の小説は、人が創り出す内面的な喜怒哀楽の感情、深い思考の世界、葛藤が表現されているのが、凄い。
主人公・壹岐正(いきただし)が、戦時中の大本営参謀から、敗戦により極寒シベリアで11年間抑留の強制労働に耐え、日本に帰還後、商社マンとして活躍する物語に、経済大国として復活する日本の姿を学ぶことができました。 2009年10月、唐沢寿明・主演で『不毛地帯』がドラマ化されるのが話題になっている。 フィクションとしての小説だけど、「実在の人物・瀬島龍三(せじまりゅうぞう1911〜2007)がモデルではないか」との話題もあります。 彼は、戦時中・大日本帝国大本営作戦参謀、戦後・伊藤忠商事会長として活躍された。 『瀬島龍三 回想録 幾山河』(産経新聞社1995年)も読み応えがあります。 高校時代、優秀な知人たちは、山崎豊子を読んでいた。 この『不毛地帯』から商社を、『白い巨塔』から大学病院の医師の世界を、『華麗なる一族』から銀行と鉄鋼の世界を学んでいた。 山崎豊子が、大人の世界を観せてくれます。
初めて読んだ山崎豊子作品です。全四巻、最初本を前にしたときは長い!と思ったけれど一気に読み進んでしまいました。興味深かったです。社会問題など疎い方なので、とてもとても勉強にもなりました。シベリアの話から、商社マンになってからの戦闘機、外資提携、石油の話、本当に興味深い。政治と企業の癒着という点も、この本を読んでいたので最近のニュースが出てもあまり驚かなかったです。しかも実在の人物がモデルということで、さらに興味が。辛い話もあるのですが、それだけでないドラマというかストーリー展開がすばらしいです。早速次の作品にいきたいです。
元陸軍参謀の壱岐正の生き様を通し、シベリア抑留の苦悩、
そして再就職先での近畿商事にて熾烈な商戦の暗部を描く。 前半のの1巻・2巻で、シベリアでの強制労働、 後半の3巻・4巻で砂漠での石油開発といった、 二つの「不毛地帯」を描いている。 二つの祖国、大地の子と合わせて、山崎豊子の戦争三部作と 言われる中の一つ。沈まぬ太陽を読んでから、二つの祖国を 読んだので、次はこれでしょうということで、読み始めたもの。 かつては商社マンの必読書とも呼ばれたというこの本。 一応、俺も商社マンの端くれとしては、感じるものもありました。 繊維商社から始まった近畿商事が重工業化を図っていますが、 俺の会社も分野が違うところもあるけれど、同じような 構造を抱えています。 社内各部門での風通しがよくないところも含めて。 もちろん、壱岐の視線とまだまだペーペーの俺の視線は 違うんだけどね。 とは言え、まだまだモノを買って売ってに毛の生えた程度の ことしか出来ていない商社マンの俺としては、 耳の痛いところもありました。 前半のシベリア抑留のところでは、ただのキーワードとして しか知らなかったシベリア抑留のことを具体的イメージとして 知ることが出来ました。 それは中国残留日本人孤児だってそう。 旧満州に終戦時にどれだけの日本人がいて、 どのようにしてその地を追われていったのか。 その歴史の一端をしっかりと心に刻む必要があると思います。
シベリアでの捕虜としての過酷な生活とその後の商社マン
として現実を生きた主人公。 時代の大きなうねりに翻弄される人間の生き様を描いた 秀作であった。 ソ連の国家繁栄の為の労働力確保と共に戦後に利権交渉の 外交カードに利用された捕虜。 結果として敗戦時の日本にとってアメリカの属国という 選択肢しかない中で、冷戦時代の幕開けとなった イデオロギーが異なる巨大国家の睨み合いが、戦後日本の 奇跡の復興をもたらしたとしたら皮肉なものである。 本書は太平洋戦争の時代に大本営の参謀本部の中枢にあり、 各方面の作戦に従事したかつてのエリート軍人を単に繊維 を扱うだけの商社を財閥系老舗商社とも張り合えある巨大 組織に変貌させた手腕。 その頭脳を組織造りの為にスカウトしたワンマン社長の 先見性にはただ脱帽させられる。 伊藤忠商事に勤務した瀬島龍三がモデルとなっているが戦後 の日本の黒幕として政治家や右翼とも密に繋がっており、 賛否両論評価が分かれる人物であるが、日本の繁栄を支えた 人物であったことは、間違いない事実だと思う。 昨今先の大戦が戦略戦争であったか否かの論文で国会で物議 を醸し出しているが、与党野党と小さな枠組みの中での攻防 となり、エネルギーや食料問題などを国というレベルで世界 と交渉して欲しい。
資料無断引用疑惑の作家として山崎豊子さんの名前を知り、元伊藤忠副社長、瀬島龍三氏がモデルであるとして「不毛地帯」という作品を知り、結局、スキャンダルがらみであることで敬遠の一冊であった。
しかし今、個人的にもっと早い時期に読むべきだったと後悔している。これを読んでいれば、 ロシアの捕虜となりシベリア抑留を経験しても男は愚痴、泣き言を言わず・・の伝で、体験を決して語らず鬼籍に入ってしまった父をもう少し理解できたのにと残念でならない。 また、資料引用疑惑があろうとも、社会背景の緻密な描写力、骨太の構成の巧みさ、読者をひきつける話の展開などの作家技量は十二分に評価できると思った。際物と片付けられない作家の力に圧倒された。 ただし、登場人物の描写が善人、悪人と若干、平面的なのが気になったが、読後、私は彼女の他の作品への興味が湧いた。 |
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山崎 豊子 (文庫)
レビュウ題のとおり、後半へ進めば進むほど主人公壱岐正はいったい誰と戦っているのか?という疑問が大きくなる、これはとりものなおさず壱岐のモデルとなった元大日本帝国陸軍中佐・大本営参謀の瀬島龍三の生涯そのものが放っている胡散臭さを小説化しても消すことができなかったからでしょう(第1巻の私のレビュウをぜひ参照されたし)、
物語の豪快な面白さに糊塗されて見落とされがちだが、作品中で見せる壱岐正の処世術が実に詭弁に満ちたものであり、つまり姑息・狡猾と陰口されても仕方がない面をたぶんに有していることを忘れてはいけないとおもう(絵に描いたような悪役として登場する鮫島の処世のほうが納得できる読者もたくさんいるでしょう)、壱岐正の狡猾さはけっして「正義」や直江謙続がいうところの「義」などには目もくれない出世主義者特有のものともいえ、その人物の属する組織によっては組織の存続自体を危うくする危険極まりないものであることに気付くことも重要でしょう(瀬島龍三の狡猾さのためにいったいどれほどの日本人が犠牲になったかなど興味ある読者は類書をぜひ探られたし)、 山崎豊子が豪快な作風を開花させた白い巨塔や華麗なる一族では財前五郎や万俵一族のような魅力ある悪人たちが登場し、そうあるべき人物がそうあるべき場所で活躍する、といった物語作りの冴えからどんどん無理がでてきるのと感じます、壱岐正のあいまいさは続く恩地元をウルトラ善人として描写せざるをえなかったなにか読者には知りえない圧力のようなものがあるのでしょう、 私は昭和史の許すべからざる人物の筆頭の一人に瀬島龍三をあげるような歴史観をもっています、壱岐正が劇中で見せるような狡猾さを瀬島もかつて帝国陸軍内部で発揮していたことは多くの評伝等の記述から明らかであり、どのような意図を持ってかかれたかはわりませんが本作が瀬島龍三の復権に一役かったという事実だけは大声で批判しておかなければならないと考えます、
商社で大活躍の主人公、元軍人の壱岐に、大きな転機が訪れます。
転機はは家庭の中で起こり、その後仕事面で起こります。 舞台は東京から壱岐が社長となって赴任するニュー・ヨークに移り、壱岐は日本の自動車会社とアメリカの自動車会社を提携させるという大きなビジネスにうってでます。 物作りに誇りを持ち優れた技術を持ちながらも営業や経営面でまだ未熟な日本の会社、世界に食ってかかる傲慢なアメリカの会社、国際化に疑心暗鬼ながらも保守主義から移行していく通産省、など、1969年前後の日本社会が抱く葛藤が見えてきます。 ちょうど現在放映されている「官僚の夏」に、似たような雰囲気を感じるのは私だけでしょうか?秋からの唐沢さん主演のドラマが、とても楽しみです。 |
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山崎 豊子 (文庫)
本巻では壱岐が、大門社長のたくらみで、一緒にアメリカに行き、戦前の同期であった川又と出会い、そこから防衛庁のFXに絡む商戦に巻き込まれていきます。また、壱岐の終生のライバルとなる鮫島も登場。こいつの商売の仕方があくどくて面白い!
本来、軍人時代の人脈を使った仕事はしないと誓った壱岐でしたが、国益を無視した戦闘機の選択を、金ほしさの政治家や官僚たちに左右されることに憤りを感じ、八面六臂の活躍をします。 後半では、一気に時間が7年後に移り、常務に昇進して社長直属の業務本部を統括する壱岐が第3時中東戦争に絡んだ商戦を展開していきます。 同じサラリーマンとしてすごいかっこいいし、何度逆境に陥っても不屈の精神で立ち上がる壱岐は凄いです。警察の取り調べを受けるシーンもかっこよかたったです。 蛇足ですが、本巻で新しく登場する人物のモデルは以下のようです。 東京商事 → 日商岩井 ラッキード社 → ロッキード社 グラント社 → グラマン社 鮫島辰三 → 海部八郎 原田航空幕僚長 → 源田実 貝塚官房長 → 海原治 大川一郎 → 河野一郎 久松清蔵 → 迫水久常 山城防衛庁長官 → 赤城宗徳 三島幹事長 → 川島正次郎 竹中莞爾 → 児玉誉士夫?
戦争で大きな傷を心に負った一人の男が、商社マンとして再度国防に立ち向かう。
しかしそこには、やはり利権と欲望にとらわれた魑魅魍魎たちの戦いがあった。 大本営で作戦を立案し、多くの兵を死地に追いやった果て、戦後再度国益に沿った生き方を目指した壱岐にとって、どういう意味を持った戦いだったのだろう。 真の国防、真の国益とは、人命を尊重した戦闘機選択であるという、当たり前の信念の前に立ちふさがるのは、国を己の欲望のために利用する、権力と言う妖怪ども。 自分が命を懸けて戦った国、11年間のシベリア抑留中に望郷の念をあふれさせた国とは、こういう国に成り果てていたのか?そう言う念の中での戦いだったに違いない。 また、勃発した中東戦争を利用した、企業同士の利益のむさぼりあい。 経済戦争とは、人道とはまた違う道を進まなければならないのか・・・・。 戦後の企業にも、腐敗した軍部の縮図が見えるような気がする
壱岐は商社マンになっても、組織をまとめ上げることにすばらしい能力を発揮してます。
第1に目的を決め、目的達成のための方策を考え、実行するための部署を作ること。 第2に適材適所に人員を配置し、チームワークを組ませること。 第3はいかなる事態に対しても、迅速に総合力を発揮する機動力が大切であるということだ。 軍は国家目的を達成するために命令によって兵隊を動かす事ができる。 企業は自由意志を持った人間の集団であるから、社員が納得し、 自覚して案件の遂行に持っていかなくてはならない。 その辺のビジネス書より、ビジネスに役にたつね。 すごい本です。
山崎豊子の戦争三部作の1つで彼女にとっての最長の作。
主人公は伊藤忠商事の瀬島龍三元会長(元陸軍中佐)がモデルといわれている。 ドラマ化を機に読み返しており、シベリア抑留が強烈なインパクトだが、一番印象に残るのはこの巻の主人公の親友の空将補の言。 「俺が防衛庁に入ったのは、警察予備隊以来のマッカーサーの手紙一本で作られた自衛隊を、日本の国民に支持される自衛隊にしたいという理想を持って入ったのだ。 軍国主義の手先だとか税金の無駄遣いだと非難され、石を投げられる自衛隊では無意義だ。 どんな綺麗ごとを並べようと独立国として国際社会の中に伍していくためにはどうしても最小限の武装は必要であり、戦争をしない、いや戦争をさせないための役に立つ自衛隊とはどんなものであるか、それを政治家や内局に対して強く訴え、国民にも納得してもらえる自衛隊にしたい。」 「憲法九条の規定のある日本では非武装中立という強い論議があり、その中で強い防衛力を整備していこうという自分の意見はいつも白い目で見られる。 しかし戦争の悲惨さは、軍人としてこの前の大戦を経験した自分たちが一番よく知っており、日本が平和国家であり続けることは絶対の理想だ。 だがそのためにはどこからも手出しをさせないだけの強い防衛力が必要で、日米安保条約が存在していても、自分の国も独立は自分の力で守る義務がある。」 ドラマでは柳葉敏郎が演じるようだがこの台詞は出てくるだろうか。
シベリアから帰還後、商社に入社した主人公が初めて大きなプロジェクトを率いて活躍していくのがこの第2巻です。
戦後の日本の再建を目指し、防衛という目的から使う戦闘機を選択するのに、そこには戦闘機の能力や安全性を無視した、欲深い政治家や官僚たちの目論見が働いていることに気付いた主人公の壱岐は、なんとしても国のために目的に見合った戦闘機を国が選択するよう、手を尽くして働きかけます。しかし複数の商社、政治家、そして自衛隊をまきこんだ争いは熾烈を極まり、はらった犠牲も大きくなるのです… 軍人として祖国に尽くし、戦後は軍人であるがために祖国からうとまれる壱岐ですが、国への愛は不変のようです。 国、会社への忠誠心はもとより、壱岐の頭の切れのよさ、ビジネスマンとしての勘とセンスの良さ、判断の早さと適切さにも魅せられるものがあります。 |
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山崎 豊子 (文庫)
引き込まれる物語であっただけに、あまりにあっけない最後に絶句しました。残念です。色々なことが中途半端なまま物語が突然幕を閉じました。不完全燃焼の一言です。
社運と壱岐自身の進退をかけて挑んだ石油発掘事業で、壮大なドラマが生まれてきます。
その個人の人生やいくつもの商社、国内外の政治を巻き込むスケールの大きさに、商社と縁がない私は、ただただ圧倒されるばかりです。 すべてが終わると壱岐は、自分の原点に戻っていきます。とても納得がいくラストです。 と思うと同時に、こんなに強い人、誠実な人って、いるのだろうか、どうしたらこんなふうになれるのだろう…と思いました。 人間の精神的な強さと描く、傑作です。
前半に比べれば後半の石油編はいささかパワーダウン、石油掘削という題材がはたして小説に向くものなのか、はたまた筆者が取り組むにふさわしいものなのかなど多くの読者が疑問を持ちつつ読了するとおもいます、「沈まぬ太陽」第3巻航空機事故編同様にエンジニアリング関連の話題を小説の中の消化するのは筆者の力を超えたものだと判断します、これがもし全盛期のF・フォーサイスならはるかに波乱万丈の掘削劇を面白く描写したでしょう、
などなどとは思いながらも、壱岐が向かう終末はどこなのか、そして石油と社内の派閥抗争(筆者の最も得意な話題)を絡めたクライマックスはもちろん娯楽小説の王道です、 終章に向かうにつれて感じたことが、筆者が実は主人公壱岐正にあまり愛着をもっていないような印象を受けたことでした、山崎作品の他の主人公に比べれば壱岐正に関する書き込み方では作者が主人公に注いだ愛情のようなものはしょうしょう薄めと感じるのは私だけではないでしょう、 父親としての壱岐と息子の親子関係の冷え冷えした様が一応の解決は見るものの冷え切ったままに終わる点にとくに壱岐への作者の愛情の薄さを感じるわけですが、おそらく息子の父へのさめた感情は壱岐正の人生を貫く妥協のない「出世主義」への反発であり、壱岐正が山崎作品中でもっとも正体不明の不可解な人物として描写せざるを得なかった「何か」を感じてしまいます、 なお、壱岐がシベリアから引き揚げたと書中で述べられる昭和31年12月26日は歴史上の「最終引揚船到着日」です、壱岐のモデルとなった瀬島龍三が引き揚げたのはその前、昭和31年8月19日天気晴れ(自伝「幾山河」による)です、また、秋津中将のモデルとなった草場辰巳中将が服毒自殺したのは昭和21年9月20日です、 |
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山崎 豊子 (文庫)
舞台は、国内自動車会社とアメリカの自動車会社との提携から、石油発掘へと移っていきます。
元軍人の壱岐は、戦争中軍事力で奪おうとし、結局それが手に入らなかったがために敗戦したという石油を、今度は平和的な方法で、日本の国益のために手に入れようと奔走します。 そのためには財閥商社や政治家など、立ちはだかる壁がいくつもあるのです… 3巻までと比べるとスピード感がなくなりますが、その分不透明な中東の石油ビジネスの不気味さととてつもない規模の大きさが伝わってくるようです。 それにしても、副社長の里井の、壱岐に対する嫉妬心のすさまじさは、女の私から見ても考えられないほど醜いです…なんとかなんないかな、このおっさん… |
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山崎 豊子 (文庫)
三巻では、日本企業による海外進出の始まり(高度成長)と外資自由化を迎えつつある時代を背景に商社マンの戦いを描いていますが、個人的には、重厚長大な作品にあってやや中ダレしている気も否めません。
大人になって久しい今となっては、政治的駆け引きや寝技に重点が置かれ過ぎている気もしますが、これを読んだ少年当時は「商社マン」に憧れたものでした。
近畿商事が主導する千代田自動車とフォーク社の提携
がまとまりかけた矢先、東京商事の鮫島がフォーク2世 会長につけ入り、東京商事が仲介する東和自動車との提携を 決めてしまった。その理由が、鮫島が体長5メートルもある カジキマグロを釣り上げ、会長を感動させたから。w (ここの釣りの描写は結構好きです。凄まじさが伝わってきました。) 嗚呼、これも頑張っても報われないシリーズです。 で、近畿商事はというと、この案件はこの小説の主人公である 壱岐正がやっていたが、彼を良く思っていないライバルの 里井副社長が割り込み、案件を頓挫させてしまった。で、さらに 心臓病で倒れてしまう。 壱岐は結局無傷で、大門社長の信頼を逆に厚くさせることになった。。。 ちなみに鮫島は名前のとおり、1回敵に喰らいついたら死んでも 離さないという。里井の心臓をも食い破ってしまった。
1巻600ページ超、全4巻の大作である。日航に勤める主人公を中心に日航の闇の部分を描く社会派小説「沈まぬ太陽」でも彼女の取材の緻密さが感じられたが、おそらく「不毛地帯」は「沈まぬ太陽」が世に出るにあたり、その試金石的な役割を果たした小説なのだろう、同様の取材の緻密さが感じられた。この小説では、シベリアに11年間抑留された元日本陸軍参謀の主人公が帰国後商社マンとして第2の人生を歩んでいく姿を描いており、前半はシベリアでの強制労働、後半は砂漠の中での石油開発と2つの不毛地帯を舞台にしている。様々な不幸、困難を経験しながらそれぞれの不毛地帯に不屈の精神で立ち向かっていく主人公に知らず知らずのうちに感情移入してしまい、大作の割にはどんどん読み進めてしまう。お薦めの1冊である。
商社って、国内や海外からあらゆる商品を買い付けてきて、それをニーズのあるところに売ることだけが仕事なのかと思っていたら、企業同士の仲介もするのですね。今では日本車は世界ナンバーワンの実績を持っていますが、この昭和40年代では、まだまだアメ車のビッグスリーと呼ばれている大手が世界一だったのかと感慨を覚えました。
のっけから、壱岐さんの折り目正しい一人娘と、ライバル鮫島さんの人を食ったような一人息子の結婚話で、鮫島家の反応ぶりが笑えます。でもこの小説はそういうお笑い要素にはあまりページを割かないので、話はビジネスの方へあっさり流れてしまうのがちょっと惜しかったり。 シベリア帰りでしょぼい浪人生活の痕など片鱗もなく、立派にニューヨーク支社長を務めて、かつ、恋も成就させ、充実した日々を送る主人公ですが、私はだんだん、この壱岐さんというヒーローについていけなくなっていきました。 作者の目は冷酷に、超一流ビジネスマンであること=最高の恋人とは呼べない人間の弱さを描き出しています。
シベリアでのつらい思い出に耐えつつ、壱岐は自分に与えられた職務を全力で行う。
それは、太陽の直下、アラビアでの石油発見であった。 どこを掘ればいいのか。掘れば掘るほど、会社の資金は底をつく。 いつ中止するのか。絶対にやり遂げたい、という部下の意思をどう汲み取るか。 会社人として、勝負の時が来ました。 恋の方も、発展します。 |
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山崎 豊子 (文庫)
二巻ではいわゆる戦闘機疑獄を題材に話が展開していきます。
最近の(少しスケールの小さい)疑獄をみてもわかりますが、時代は変わっても人間の営み(特に欲望絡み)は変わりません。必ず逮捕者や自殺者が出ることをみても、小説が現実のクリシェなのか現実が小説のクリシェなのか、もはや架空と現実の区別もありません。 「華麗なる一族」や「白い巨塔」など、一連の山崎氏の作品が普遍性を持つのもそのあたりに理由があるのでしょう。
ラッキード案件、スエズ運河封鎖事件、
結構面白かった。 あと、企業の経営戦略とか、組織人事のあり方とかさ、 今言われてることが、すでに何十年前の小説に書かれてるとは。 小説を通してだと結構理解しやすいし。。 改めて、、この著者は凄い。
1巻600ページ超、全4巻の大作である。日航に勤める主人公を中心に日航の闇の部分を描く社会派小説「沈まぬ太陽」でも彼女の取材の緻密さが感じられたが、おそらく「不毛地帯」は「沈まぬ太陽」が世に出るにあたり、その試金石的な役割を果たした小説なのだろう、同様の取材の緻密さが感じられた。この小説では、シベリアに11年間抑留された元日本陸軍参謀の主人公が帰国後商社マンとして第2の人生を歩んでいく姿を描いており、前半はシベリアでの強制労働、後半は砂漠の中での石油開発と2つの不毛地帯を舞台にしている。様々な不幸、困難を経験しながらそれぞれの不毛地帯に不屈の精神で立ち向かっていく主人公に知らず知らずのうちに感情移入してしまい、大作の割にはどんどん読み進めてしまう。お薦めの1冊である。
入社した頃は繊維部で電話一つ満足に受けられなかった不器用な壱岐さんも、2巻になると東京の航空機部へ配属になり、重要な仕事を任されます。参謀時代に培った政府要人との人脈を活用して悪代官のような官房長と渡り合い、社内の派閥争い、官憲とのにらみ合い、同業他社との熾烈な商戦を闘っています。
「男は一歩外に出ると7人の敵がいる」という言葉がまさに当てはまるような感じです。 2巻は前半が防衛庁の戦闘機購入にまつわる商戦、後半が業務本部という特殊部隊で会社の体制保持と革新を目指す話です。その闘いぶりもさることながら、激職に身を投じることで家族と距離が出来てしまうという商社マンたちの人生についても考えさせられます。そしてあっと驚くクライマックスが待っています。
よくもまぁこれほどの緻密な情報を集められたものだ。この作品には、総合商社の二つの側面を、描き出している。一つは、接待と不正、ほとんどギャンブルである相場で利ざやを稼ぐ獰猛な悪徳商売人として他人の褌を食い物にする腐敗した側面。そして同時に、全地球規模での国益までも含めたストラテジーを、その情報力と総合力と取扱高を利用て、行動していく日本の前線部隊としての側面。たぶん、商社マンというのは、壱岐の対象であるライバル鮫島のような悪徳・獰猛な側面と、壱岐のような理想主義でストラテジックな側面を併せ持つ人種なのだろう。確かにぼくの付き合いのある大商社の諸先輩方には、そういった風格と怖さみたいなものが同居している。
この作品の大きな流れとして、戦後「組織力」をバックに強大化しつつある三井・三菱・住友などの旧大財閥の連携に対抗して、野武士集団として財閥を背景に持たない繊維問屋出身の伊藤忠商事(近畿商事)が、財閥に負けない組織力と総合力を発揮する体質に脱皮するための苦悩を描いている。その『総合化』と『重化学工業化』という抽象的な変化を、その中核にいた組織のプロである瀬島隆三元大本営参謀の人生を小説化することであぶりだしている。商社マンというものの生な感触をここまで描き出している文章を僕は知りません。 現在では、その『重化学工業化』の後にバブルとIT革命を経て、豊富な資金力信用力を利用した投資銀行的な側面と、やはり口銭と利ざやで稼ぐ側面が同居しています。ビジネスの世界に今いる自分の日々の状況などとオーバーラップして一気に読んでしまいました。しかし、女性であるにもかかわらず、ここまで男性的な苦悩とビジネスの現場を描ける山崎さんの筆力には、驚嘆させれれます。 |
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